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未成年の相続人がいる場合の相続手続き※2018年度の内容に更新※

2016.08.10

相続が開始したときに、法定相続人の中に未成年者がいる場合があります。

 

 

未成年者は、原則、自身の判断のみで法律行為(売買、遺産分割協議等)を行うことができませんが、相続人となる権利は年齢にかかわらず当然に持っており、被相続人による遺言や信託等がない場合には、未成年者は相続財産(不動産・株式・預貯金・借財等)を法定相続分の割合に応じて相続します。

 

 

 この法定相続分に応じた相続による各種の手続きは、原則、親権者が子の法定代理人として行うことが可能です。

 

 

例えば、父が死亡し、母と未成年の子一人が相続人である場合、遺産は母と子が2分の1ずつの割合で相続しますので、不動産の名義を母と子の各共有持分2分の1とする登記手続きを法定代理人である母が単独で申請することが可能です。

 

 

同族会社の未上場株式についても、同様に名義変更が可能ですが、株主としての権利行使をする者を相続人全員の協議により決定し、その旨を会社に通知しなければなりません。株主としての権利を行使する代表者を決定し通知することにより、株主総会を開催して役員を選任することなどができるようになります。

 

 

 これに対し、法定相続分と異なる相続の手続き、例えば不動産や株式等を母の単独の名義にしようとする場合は、その前提として、遺産分割協議や相続分の譲渡等の法律行為が必要ですが、このような母と子の利益が相反する法律行為については、母は法定代理人として権限を行使できないため、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てることになります。

 

 

家庭裁判所は、子の法定相続分に相当する財産を確保するため、当該不動産に対する子の法定相続分の価格に相当するその他の財産を子に相続させる等、遺産分割の内容が全体として子に不利とならないよう慎重に審理したうえで、特別代理人を選任します。

 

 

また、家庭裁判所に対する未成年者の相続放棄や限定承認の申請については、法定代理人が相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に、法定代理人と未成年者が共に相続放棄や限定承認をする場合でなければ行うことができません

 

遺言があれば、特別代理人を選任せずに希望どおりの相続手続きを進められますので、時間と費用が節約でき、かつ、亡くなった方の意思を尊重することができます

 

法定相続人になる人に、未成年者がいる場合は、あらかじめ遺言を作成しておくことを強くお勧めします

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筆者紹介

酒井 謙次
酒井司法書士事務所 所長

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